気ままにスイング、これが私の考えるジャズ(?)



スイングしてナンボ SPECIAL!
SINGAPORE JAZZ事情(?)パート4
"One Voice, Six Strings, Twelve Moods"
by Double Take
(EA70076)

Musicians:
Mia Palencia(vo), Roger Wang (g)

Songs: 1. My Baby, 2. Baby I Need You Now, 3. Bunyi Gitar, 4. Tidurlah Sayangku, 5. Love Scale, 6. While She Sleeps, 7. Finger Dancing, 8. Dahil Saiyo, 9. Love Always, 10. Monalisa, 11. Getaran Jiwa, 12. Mengapa Kasih
Bonus CD: 1. Almost Being in Love/LOVE, 2. Black Coffee, 3. I Say A Little Prayer for You, 4. Let's Call the Whole Thing off, 5. Windy ana Warm, 6. Orange Colored Sky
 シンガポール特集、いよいよ最終回です。  CDショップのお姉さんが、「パット・メセニーみたいなやつネ」といって在庫の中から出してきたのが、この“Double Take”。  確かにギターが大活躍には違いないけれど、これは、女性ボーカルとギターのデュオ・ユニット。  ギターのRogerは、27歳で、このCDでは、プロデュース、エンジニアリング、アレンジとマルチな才能を開花させています。  ボーカルのMiaは、なんと未だ18歳、CD録音時は16か17だったようです。  共にマレーシアの出身で、言ってみれば、マレーシアの「チェリッシュ」、いや、「ル・クプル」、いや、「タック&パティ」といった所か?

 CDの冒頭、@はRogerの作によるオリジナル・スイング・チューン。 CDタイトル通り、1つの声と6つの弦が織り成す豊饒なスイング感は抜群。 Miaの歌声は、とても16、17のお嬢さんとは思えない、タップリとした太目のボイスで貫禄充分。 しかし、ジャケ写での彼女は、アヤヤもビックリ、アドケナサが残る正統派アイドル顔。 オデコが広いところが、チャーミングだなあ・・・(笑)。  因みに、隣に写っているRogerは、関根勤とK-1の谷川プロデューサを足したような顔(?)。

   続くは、Aはドラムやバックボーカルも入ったバンド演奏で、初期の「エブリシング・バット・ザ・ガール」を思わせる洒落た感覚。  いやあ、それにしても、Miaは良い声だ。  声変わりする前のマイケル・ジャクソンとシャデーを足したような、円やかな声をしている。 押尾コータロー風のBは、アコギのソロ演奏で、押尾よりも多分上手いんだろうなあ・・・よく分からないけど(笑)。  続いてCでは、再びパーカッションも入った演奏をバックにMiaがマレー語(?)で歌います。 現地語で歌うハスキーなボイスに、アコギ中心のシンプルな演奏が良い感じ。  

 ボーカル&セミアコギターのデュオによる大人っぽいD、日本の琴を思わせる、ドリ・カイミのギターにも似た音色が印象的なソロ演奏のE、パーカッションとギターによるスパニッシュっぽいインスト曲のFと続き、Gはフィリピンの血も流れているというMiaのヘリテッジからフィリピンの伝統的ラブソング。  終盤はスタンダードのIや、ギターソロのH、Jと多彩に聞かせ、締めは現地語(?)でのデュオ曲K。  シンプルな構成ながら、聞き手を飽きさせない工夫が感じられます。

 さて、このCDには、ボーナスCDとして、2003年2月14日、バレンタイン・デーに、クアラ・ルンプールのコンコルド・ホテルで行われたライブの実況録音がついていました。  ライブ録音だと、Miaの歌声が、やはり、18歳かな、と思わせる部分が聞けて面白いです。 でも、17や18で、このように抑制して歌えるんですから、凄いなあ、と思わされます。  アジアは広い、世界は広い・・・。      



スイングしてナンボ SPECIAL!
SINGAPORE JAZZ事情(?)パート3
"Now and Then"
by Claressa Monteiro
(064514-2)

Musicians:
Claressa Monteiro (vo, per)
Michael Werspen(pf, rhodes), Brian Benson (b, rhodes), Eddie Layman(ds),
Reggie Perera(per), Jeremy Monteiro(pf), Shawn Kelleyds), Tim Hammerson (pf)
Guest: Stephen Bishop(vo)

Songs: 1. Don't let me be lonely tonight, 2. Sailing, 3. The way you look tonight, 4. On and On, 5. Lullaby to Erle, 6. Green Dolphin Street, 7. Love comes, 8. So in love, 9., Embraceable you, 10. A song for me, 11. Skylark, 12. On and On (remix)
  あ〜っ、なんだかスッカリ御無沙汰になってしまった、この【Singapore Jazz事情】・・・。 シンガポールに出向いてから既に何ヶ月経っていることやら?(笑)

 さて、気を取り直して。 次にCDショップのオネエサンが紹介してくれたのは、又も、女性ボーカルで、このClaressa Monteiro。 うーん、まったく知りませんでした。 「試聴してみる?」とオネエサンが訊くので、どうしよかな?と思って、裏ジャケに書かれた曲目を見ると、(上記)3. 6. 9. 11. といった僕好みのスタンダードに、70-80年代の名曲、スティーブン・ビショップの4, ジェームス・テーラーの1, そして、これはドチラか分からないけれど2.等々のポップス。 なかなか良さゲだよな、と更にジャケを見ていると、CDケースに貼られた宣伝シールを発見。 「贅沢でシルキーなクラレッサのボーカル・スタイルをフィーチャーした、全世界デビュー盤。 "On and On"は、スティーブン・ビショップ御本人とデュエット」(実際は勿論英語で)・・・とな? なんつっても、ビッシュ御本人とデュエット、というのにはソソラレマス! ちなみに、本盤はユニバーサルを通して、昨年、欧州で発売された模様です。 (米国では未発売?)

 ということで、買わされちゃいました(笑)。  Claressaの歌声は、宣伝にも【シルキー】とあるように、非常にスムース。 【ロリ声】(?)とまではいかないまでも、最初聴いた時は、あまり好きになれなかったんです。  しかし、これが、聴いていくうちに、良いんだ。 シットリと、心に浸透してくる声。  

 一曲目の冒頭、アコースティック・ピアノのイントロが、夜の静けさを表すようで、グッと引き込まれます。  そこに、レコーディング後のプレイバックを聴きながらClaressa自身が思いつき、オーバーダブしたという、煌めくようなフェンダー・ローズの音色が絡む。 タマラナイです。  この歌、既に色んな人が歌っていますが、Claressaは、基本的に淡々と歌いながら、歌詞のパーツによっては、クドサの一歩手前と言った感情移入を表現していて、バランスの取り方が上手いな、と思わされます。 

 "Sailing"は、「南から来た男」、そうです、クリストファー・クロスの方でした(笑)。  これを取り上げるとは、多分、Claressaは、80年代に青春時代を送った、僕なんかと同世代(30歳代半ばから後半)なんだろうなあ・・・。  僕が知らないだけかも知れませんが、この曲、最高に美しい名曲中の名曲なのに、あまり他のシンガー、特にジャズ・シンガーが歌ったという記憶がありません。  60〜70年代のポップスをジャズの題材に取り入れるのが当たり前になってきていますが、80年代については、ちょっと未だ手が出せない、といった雰囲気があるのかな?  帆を揺らす爽やかな風を思わせる、あの印象的なイントロのフレーズ、そして、何故か切ない、あの間奏のメロディもそのままに、ここではオリジナルのイメージを崩さず、絶妙のアレンジが施されています。

 お待ちかねの4.は、極上のジャズ・バラッドに仕上げられ、ビッシュのアノ泣かせる歌声からスタートし、Claressaと交互にボーカルを取る形態。  Claressa自身の手によるライナーによると、どうやらレコーディング当日にビッシュが突然現れる、という彼女にとってはビッグ・サプライズ、ユニバーサル・レコードから彼女への全世界デビューのお祝い、だったようです。  それにしても、スティーブン・ビッシュという人は変わらないですね。   偶に来日して、ブルーノート東京あたりで弾語りライブをやっているようですが。  ビッシュについては、凄く好きな人なので、又、改めて。

 続く、5.は、初めて聴く曲でしたが、当初、なんとなく聞き流していました。 しかし、コレがね〜、なんか、徐々に効いてくるんですよ。 フェンダー・ローズの調べと共に、Claressaのボーカルの浮揚感といったらないね。 そして、なんと言っても、このメロディ自体が、フワフワと、夢見心地にさせる、えも言えぬ、魅力(魔力)にみちている。  ライナーで、Claressaは、「この曲を最初に聴いた時、これは私が歌う曲、と悟ったの。 だって、ホントにステキな歌でしょ?」と語っていますが、その気持ち、よく分かるな。 誰が作った曲かな?と思って、ジャケットのクレジットを見ると、Silje Nergaardの名前。 早速、ネット検索してみると、いややぁ〜っ、マイッタね、セリアだって。 懐かしい、あのセリアなんだ、と。  セリアと言っても、ナウなヤングには分からないか?(笑)   

  セリアは、1990年、パット・メセニーが参加したことで話題になった“Tell me where you're going"でデビューしたノルウェー出身のシンガー。 因みに、この曲、邦題は何故か「やさしい光につつまれて」(笑)。 当時、J-Waveでヘビー・ローテーションになって、大ヒットしたのでした。 うん、確かに、アレは良い曲だった。  余談ですが、あの頃、僕は可也ラジオ(J-Waveなど)を聴いて、情報収集していたんですが・・・何せ、インターネットなんつ〜ものは影も形も無かったもんで(苦笑)・・・気に入った曲のタイトルとアーチスト名をメモ帳にとったりして、セリアのこともメモった記憶があります。  90年前後って、新鮮な女性シンガー・ソングライターが台頭していて、特にジュリア・フォーダムなんか、ホントに大好きだったな・・・。  
 話しが逸れましたが、Claressaが取り上げた、Silje作の5.は、Siljeがジャズ・シンガーに転身(って言うのか?)して大成功を収めた(らしい)02年のアルバム「At First Light」(これも邦題が何故か「はじめてのときめき」だって、苦笑)に収録されているそうです。  まあ、やっぱり、Siljeって良い曲作ります。 そして、ジャズって、音楽って、芋づるだな、と改めて思いますね。 Claressaを知ることによって、スッカリ忘れていたセリア(Silje)の現在の活躍ぶりまだ知ることが出来たんですから。 それにしても、同時代に活躍している同世代の、そして、同性のアーチストの曲を、「この曲、ステキ」と、屈託なく取り上げるClaressaって、なんか良いな・・・。

 有名スタンダードの6.は、パーカッションを中心にしたシンプルなトリオと、スローに展開していきます。 歌詞をハッキリ伝えたかった、ということで、淡々と、しかし、なにか噛み締めるような歌唱が魅力的です。  Claressaのオリジナル曲の7.は、実体験に基ずくという愛の訪れを歌ったラブ・ソングで、感情を抑えつつも、愛の悦びに心震えるといった情熱的歌唱が聴けます。  8.、9.と古いスタンダードが続きますが、特にサラ・ヴォーンの9.が好きだったので、今までなかなか歌えなかった、とライナーノーツでClaressaは語っています。  ここでのClaressaの歌唱は、サラなど先達の伝統的なジャズ・ボーカルと一線を画す、ある意味、歌謡曲的(ポップス的)といった感じです。  伝統的なジャズ・ボーカルが、大きな(深い)表現の中に楽曲を包み込むならば、Claressaの歌唱は、楽曲の中に入り込んで、曲の中に潜んでいる、ジャズを育んだ文化圏=欧米以外の人間には到達し難いコアな部分を、静かに抉じ開けていくかのように思えます。 

 10.は、上条恒彦がグランプリを取った72年の「世界歌謡祭」にも参加したことがあるという、香港のベテラン・シンガー・ソングライターのDanny Diazの手によるもので、これも良い曲です。 一聴してシンプルなメロディですが、これ、結構歌うとなると難しそうだな。  Claressaは、ここでも歌詞とメロディを噛み締めるように、それでいて浮揚感を湛えながら表現しています。  アルバムの最後、11.は、僕が大好きなホーギー・カーマイケル、ジョニー・マーサー作の名曲。  レコーディング・セッションの最後の最後に録音されたバージョン、とのことで、デビュー以来16年の夢を実現してのレコーディング、その最後に感極まりながら歌うClaressaには、「貰い泣き」ならぬ「貰い感動」してしまいます。  

 Claressaは、自身のHPで、CDレコーディングまで16年かかったことについて、こう語っています・・・「ジャズは、愛や美しさだけでなく、痛みや喪失についても語るもの。  17歳の子に、何が分かるのかしら?  私は、人生の様々な経験を通して、学んできた。  思い描く音楽を表現することはトレーニングで学べるけれど、そこにハートとソウルを加えられるのは、人生を通してだけよ」。   ジャズに限らず、音楽の本質を突いているように思いますね。

 CDショップのオネエサンの推薦で偶然手にした作品ですが、これは本当に大当たり。  聴けば聴くほど味わいが増します。  日米英仏のアマゾン・ドット・コムでの検索ではヒットしませんでしたが、ドイツのアマゾンでは購入出来る模様です。  現在、Claressaは、ユニバーサルからEMIに移籍し活動中、とのこと。  ジャシンサ同様に、日本でもボーカル・ファンの心を掴む日が遠からじ来るかも知れませんね。         



スイングしてナンボ SPECIAL!
SINGAPORE JAZZ事情(?)パート2

"Jacintha is her name
dedicated to Julie London"
by Jacintha
(GRV1014-2)

Jacintha (vo)
Bill Cunfile (pf, arr), Harry Allen (ts), Ron Eschete (gtr), Larry Bunker (vib, per), Holly Hoffman (fl), Darek Oleskiewicz (b), Larance Marable (ds)
  シンガポールのCDショップのオネエサン、先ず、取り出してきたのは、やっぱり、そう来たか?と思わせる、正統派、剛球・速球勝負で、シンガポールの歌姫、ジャシンサだぁ!(笑)
  もう日本でもスッカリお馴染みですよね。  え? 知らないって? うーん、未だ知る人ぞ知るって感じかな、日本では?  ジャシンサのことは、確か、今から10年くらい前だったか、日野皓正さんの“エイジアン・ジャズ・オールスターズ”(?)のメンバーとして選抜された時に初めて名前を知りました。 武道館での“JAPAN JAZZ AID”で、日野バンドをバックに“I wish you love”を歌ったりしてました。  その後、ケイ赤城さん等との米国西海岸での録音が、高音質盤として、日本のオーディオ・マニアの皆さんに大いに受けたり、エトセトラ・・・。  
  さて、このCD、タイトルの通り、ジュリー・ロンドン愛唱歌を、ジャシンサが歌う、という企画盤の趣き。  2002年11月、ハリウッドでの録音の本盤、冒頭一発目、“Willow Weep for Me”から入ると、いきなりハリー・アレン君のテナーが泣きまくるぜ、シェゲナ・ベイベ〜ッ!  溜息のようなテナーとギターのデュオをお伴に、ジャシンサが、ちょっと昭和歌謡風なコブシを入れつつ、艶っぽく歌います。  ジャシンサは、ハスキーとまでは言わないけれど、少し靄った感じの歌声がエエなぁ。 欧米のシンガーには無い、“洗練された野暮ったさ”みたいなもんがあって、こういうの、好きなんですよ。
  本盤でのジャシンサは、ラリー・バンカーのバイブをフィーチャーしたトリオや、ビル・カンリフのピアノ&ハリー君のテナーのデュオなど、小編成とジックリ聴かせてくれます。  最後は、勿論、“Cry Me a River”。 この恨み節の決定版(?)を、意外とアッサリと歌ってるのが逆に新鮮。  上手い人です、ホント、ジャシンサ、ライブで聴いてみたいなぁ。



スイングしてナンボ SPECIAL!
SINGAPORE JAZZ事情(?)パート1
  8月に仕事でシンガポールに行ってきました。  会議への出席が主目的で、滞在中は会議の会場であるホテルに缶詰状態でしたから、自由時間は殆ど無し。。。。  ホントは現地のジャズ・クラブなど行ってみたかったのですが・・・。  

  しかし、黙ってこのまま帰るわけイカンなぁ!ということで、最終日に何とか抜け出し、近隣のショッピング・モールのCDショップに飛び込み、ジャズCDを漁ろうと・・・。  ジャズ売場のところで早速チェックを始めますが、在庫数は多くても、その内容は有名所の定番(盤)と得体の知れないコンピ盤が大多数。  やっぱり、こうやって他の国に来てみますと、如何に日本で流通しているジャズ音源が質量ともに充実しているかが分かります。

  な〜んだ・・・とガックリして帰ろうとすると、何処からともなく店員のオネエサンが近づいてくる。 そして、交わされた珍妙な会話は以下の通り・・・。  しかし、どーゆー伝わり方してるんだろうね?  恐いな・・・。  

  さて、この店員のオネエサンに、「ローカルのジャズ・ミュージシャンでお薦めがあれば紹介して」と頼むと、まあ、出てくる、出てくる。 裏の在庫から何枚も何枚もCDを持ってきては、「これ聴いてみてよ」とカッターでセロファンをビリビリに破り、盤をプレイヤーに載せると大音量で店内に響き渡らせる。  「う〜ん、それは一寸趣味じゃないな」と言うと、ビリビリに破いたセロファンのまま、在庫に戻して(おいおい!)、また次のCDを持ってくる(笑)。

  まあ、積極的って言うか、きっと売上が個人成績になるんでしょうね。  逞しいです。  そんなわけで、このオネエサンに何枚か買わされてしまって・・・いや、御紹介していただき喜んで買ってきたCDが何枚かありますので、次回からこのコーナーで紹介します。  お楽しみに!
シンガポールのCDショップでの店員のオネエサンとの会話 (本当の話しですよ、これ)

「なにか探しているの?」
「見てるだけなんだけど・・・」
「貴方、日本人でしょ?」
「そーだよ」
「貴方、ジャズが好きなの?」
「そうだね、日本ではジャズの人気が高いんだよ」
「ねー、日本のシンガーで、チ○・アヤ○って知ってる?」
「(おいおい・・・)あ〜、勿論、知ってますよ、とっても(苦笑)」
「彼女って、死んだでしょ? 残念よね」
「・・・・はぁ? 死んだって、いつ?」
「最近かしら? 1年くらい前? もう少し前? 残念よね、私、とっても好きなんだけど」
「あの〜、日本を出てきた時は健在でしたが・・?」
「え? そうなの? 元気なの?」
「ここ2〜3日で亡くなってなければね」
「そうなんだ、生きているだ。 彼女って幾つなの?」
「45かな、46だったかな?」
「まだ若いのね〜。 新しいCDが出たの知ってる?」(“My xxxx”なる作品を出してくる)
「知ってるよ・・・。 だけど、そのCD・・・要らないんだけど・・・」


2003年7月27日(日)のスイング

“Dedicated to you”
三槻 直子
前作から約2年ぶり、三槻さんのセカンド・アルバム。 今作では、後藤浩二トリオに加え、日本が世界に誇るジャズメン・大野俊三さん(tp/flh)が参加。  あのNorama Winstoneの歌った“Ladies in Mercedes”が聴け、いやはや、これにはワタシャ降参、タマラナイです〜〜。 



“A song of a dolphin”
三槻 直子
三槻さんのリーダーとしては初のアルバム。 名古屋で活躍する気鋭の後藤浩二(pf)のトリオが共演。 三槻さんがハービー・ハンコックの「ドルフィン・ダンス」にオリジナル詞をつけたタイトル曲が印象的。 それに因んだのか、"Speak Low"のイントロに「処女航海」をアダプトしたりと、後藤さんのアレンジも冴える。 コーラス毎に転調していく"East of the Sun"での三槻さんの懐の深さには脱帽。
  最近の1-2年は、CDを買う量がグッと減ったのだが、ここ1ヶ月ほどボチボチ買い漁り始めている。  その内の一枚が、三槻直子さん(vo)の新作“Dedicated to you”。  三槻さんはマーサ三宅さんのお弟子さんで、92年にはツムラボーカル賞の新人賞を受賞している。  ボーカルの「うまさ」には、「上手さ(巧さ)」と「旨さ(美味さ)」があって、この辺りについては今後語っていきたいと思うが、三槻さんは「巧さ」も「旨さ」も持ち合わせていて、う〜ん、本当に「うまい」。

  三槻さんは、99年にギターの岡安芳明さんが発表した“Good life”というCDにゲスト参加していて、僕はそのCDは未聴だが、ジャズ雑誌のCD評を読んで、「はあ、そーゆーボーカルの人が居るのか?」と思ったものだ。 その後、当HPもリンクして頂いているボーカル・ファンふじのさんのサイトのライブ・レポートで三槻さんを見かけた。 その時も、失礼ながら、「はあ、そーゆーボーカルの人が居たな」としか、先ずは思わなかった。 しかし、多くのボーカルをLIVEで聴かれて経験豊富な“ふじの”さんが、そこで三槻さんのことを非常に高く評価しており、僕は興味を持った。  シガラミの中でしか“あーだ、こーだ”と言えない職業批評家の言うことは殆ど信じないが、自分と同じ“ジャズ・ファン”の方の言うことにはアンテナ感度が上がってしまう。  そーこーするうち、三槻さんご自身のHPだったか、何処かのウェッブサイトで、三槻さんが英国のボーカリスト、Norma Winstoneのファンと知り、僕もNormaは大好きで、これは、三槻直子、聴くしかないじゃん!と思った次第。 それは、ホンの1年半くらい前の話しである。

  ディープなジャズ・ファン(?)とは言え、僕は潤沢な資金にも時間にも恵まれているわけでなし、LIVEにしろ、CDにしろ、未知のミュージシャンを聴くには、それなりの意気込みと言うか、覚悟というか、切っ掛けが必要である。 ヒョンな切っ掛けで三槻さんを知り得たわけだが、充分なキャリアとファンからの支持を確立されている彼女にでさえも、僕は「こういう旨い人が居たんだ」と思ってしまった。  

  【ジャズはマイナーな音楽】と言われている。  僕自身も同感だ。  ジャズを【マイナー】にしてしまっているのは、もしかすると未知の才能との出会いに躊躇している、【井の中の蛙】である事に喜びを感じている、ジャズ・ファン自身なのかも知れない。  それから、シガラミの中で食っていくしかない、ジャズ・マスコミの責任も、無視出来ない・・・かな?(笑)   吹けば飛ぶよな、ピーナッツのような僕のサイトだが、これからもドンドン発信(発振)していこう、と思う。  そうすれば、誰かのアンテナに受信されるかも知れないし。